日本で長らく「機械式時計の入門」ブランドと、オリスは認識されていた。歴史あるブランドでありながら、魅力的な価格を維持できたのは、他社がプロモーション活動などに励むぶんの費用などを、常に高品質な時計作りに充ててきたからである。
オリスの創業は1904年。創業時に構えた工房の近くに流れる小川の名前に由来するブランド名を掲げた同社は、1911年までに従業員300人を超えるほどの急成長を遂げている。従業員の住環境まで整備していたオリスは、その働きやすさから優秀な人材が集まり、ブランドも順調に発展。大戦中にも時計製造を続け、困難な時代を生き抜き、魅力的な製品をいくつも手がけることで、1960年代後期には世界でも指折りの時計会社となっていった。 |